福野泰介の一日一創 - create every day

大好きな母校、そして、jig.jpの力の源でもある高専は、今年で制度創設50周年を迎えました。
昨日開催された記念シンポジウムにて参加したパネル討論での提案を5つに改めてまとめてみました。

1. 高専は地域とのつながりを強くせよ

Webによってグローバル化が一気に進む中、"特色"の重要性が増している。差別化できないものを作ったところで意味がない。差別化の鍵は、地域に眠っている。地理的フロンティアが無く(宇宙以外)、島国化する世界において、いかに持続的な発展を遂げるかが世界的な課題である。この課題に対し、古くから島国での生活を続けきた日本の文化・知恵が活きるに違いない。日本の強さが、多様な四季にも味方された、地域ごとの多様性であると私は見ている。歴史的背景、それに培われた人と文化が創りだす地域に根ざした技術を元にした世界的にも競争力ある製品はまさに宝。その宝をさらなる創造で輝かせることができるかどうかに、日本の未来がかかっているのではないか。日本全国の地域に高専あり。高専の学生、先生が地域の宝を探し出し、技術的観点を含めた新しい風を吹きこむことができれば、おもしろい化学反応が起きるに違いない。

2. 脱コミュニケーション、高専は創造に集中せよ

英語が弱い、コミュニケーションが弱い高専と言われるが、そこに意識が向くことで、肝心な創造性が失われては元も子も無い。高専へのバックアップを微力であるが続けてきた個人的肌感覚として、学生でも活躍するチャンスは広がる一方である反面、学生の創造力(ものづくりパワー)は低くなっていることに危機感を感じている。コミュニケーションとは、"相手に伝わること"、つまり、相手に価値を感じてもらって初めて成立する。まずは、価値あるものを創ることができる能力こそ、高専生には求めたい。自分で自信が持てるモノが創れれば、自然と人に話したくなる。

3. 良質な余裕こそ進化する高専の要

パネル討論の最後、学生に「忙しいですか?」と質問したところ、ほとんどの学生が手を挙げた。私の高専で一番良かったことは余裕の多さである。週休2日が高専への進学決定の決め手であり、授業は遅くとも16:10で終了し、テストは年に4回と高校と比べて少なく、受験勉強に忙殺されない5年間を過ごせることは、遊びに、研究に、アルバイト(プログラミング)に完璧にフィットした。たまり場をつくってくれた先生、相談にのってくれる先輩、切磋琢磨する友達、このような授業以外の多くの体験が詰まった高専生活無くして今の自分はない。やらされるではなく、自ら行動する自由こそ、進化する高専には必要である。

4. だれでも高専生!社会人高専生制度を

デュポンの天羽社長の、アメリカの大学の多様な人達との関わる貴重な体験を高専にもという提案、大賛成。1の話とも関連して、高専1年生向けの情報リテラシーの授業や、各専門教科の基礎など、比較的優しいものだけでも、公開授業として、地域の社会人の参加を積極的に促してみてはどうだろう。中学校からの進学である高専は、親の理解なくしてありえない。社会人は教室の後ろに椅子だけならべて参加でもいいし、参加者が多ければ講堂に移ればいい。ワークショップなど普段のクラスメートだけじゃない、人との関わりはお互いにとって刺激的でおもしろい授業にもなりそう。文科省高等教育局の坂東さんも賛成とのことなので、障害もないはず。公開授業が増えてくれば、社会人向け高専生入試と、学費をとって、高専の新たな独自財源にもできるはず。

5. ビジョン無き留学には反対!

なぜか決まった留学生受け入れ30万人という話があったが、むしろ積極的に日本人が学んでくるべきであるという意見には大賛成。ただ、国費を使って留学し、留学した先で就職、活躍、下手すれば日本の企業にとっての脅威となるなんてのは最悪。小野妹子や幕末前後の人達が他国の知恵を持って帰り、日本のために使ったからこそ今の日本がある。日本や育った地元の地域を愛する人が、ビジョンと覚悟を持って留学に行くからこそ意義がある。私は高専3年のころ、日本嫌いで地域のことは全く関心もなかったので、高専中退してシリコンバレーにいこうと考えたこともあったが、もし行っていたら日本にはほとんど帰らない生活をしていたかもしれない。

謝辞

以上、外野からの勝手な提案ですが、高専関係者にとって何かヒントになれば幸いです。高専100周年に向けて、高専発ベンチャー、jig.jpの発展が何より貢献だと思っているので、一層気合を入れてがんばります!
最後になりましたが、高専50周年おめでとうございます。
記念式典お招きいただきありがとうございました!

TOPIC >> 高専制度創設50周年記念事業 >> 記念式典等の概要
http://www.kosen-k.go.jp/50th/ceremony.html
高専 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%B0%82%E9%96%80%E5%AD%A6%E6%A0%A1
田中眞紀子文部科学大臣記者会見録(平成24年11月2日):文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1327392.htm (高専に関するコメント動画)


高専50周年記念シンポジウム、パネルディスカッションの様子 (他写真)


パネリスト拡大写真(左から)
木村孟氏 一般社団法人 日本技術者教育認定機構(JABEE) 会長
天羽稔氏 デュポン株式会社 代表取締役社長(阿南高専卒業)
福野泰介 株式会社jig.jp 代表取締役社長(福井高専卒業)
坂東久美子氏 文部科学省 高等教育局長

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CC BY 福野泰介 - Taisuke Fukuno / @taisukef / アイコン画像 / プロフィール画像