2001年、またも世界に先駆けスタートした日本のケータイアプリ「iアプリ」。わずか10KBと厳しい容量制限ではあったものの、ケータイがソフトウェアをインストールできるコンピュータに進化した歴史的な年。誰もが当たり前に使うには、高額すぎるパケット料金を少しでも下げたいという思いで開発したiアプリによるモバイルブラウザ「パケットセイバー」の体験サイトは多くの人に利用された。後に「jigアプリ」としてjig.jpからもリリース。
2003年、3G携帯の広まりと合わせて、パケット料金の定額化が始まる。従量制のパケット料金でも魅力的なコンテンツと次々とモデルチェンジしながらもインセンティブによって安価に購入できる携帯電話本体によって、パケット料金収入を伸ばし、携帯電話会社はインフラ投資をしながらも順調に利益を積み上げることに成功。満を持してスタートした3Gと約4千円/月という絶妙な値段設定によって、更に利用者数を増加させる。従量課金の「できるだけ利用を控えよう」から「使わないと損!」のパケット定額への変化は、まさにモバイルにおけるブロードバンドのスタートであった。
2004年、モバイルがブロードバンド化してもケータイからはモバイルサイトしか見られない不便さは残る。ケータイをPCに接続して見るとパケット定額の対象外となることから、ケータイでパソコンサイトを見たいという機運が高まる10月。jig.jpは、ケータイ初のダウンロード型フルブラウザ「jigブラウザ」をリリース。予想を大きく上回る反響で一時サーバーがダウンさせてしまう(申し訳ありませんでした)。
2010年、スマートフォンの本格展開が始まる。通常のケータイと違い、パケット通信を行うことが前提であり、またそのパケット通信量も多量となりやすいアプリが全面に出されたスマホであるが、パケット通信料金もしっかり1,000円~1,500円高く設定されている。アメリカのようにパケット定額制を断念することなく続けられるのは、パケット通信がヘビーユーザーばかりではなく、幅広い利用者に受け入れられているからこそ実現できている。
2011年、docomoの山田社長のITmediaでのインタビュー、4Gの料金体系についてのコメントに「我々が検討しているのが、データ通信の利用量が一定の閾値をこえたら、“通信速度は遅くなるけれども、料金は定額のまま”という料金プランです」とあった。誰もが安心して使えるモバイルインターネット大国の地位は安泰そうだ。コンピュータが生活に深く浸透する社会における新しいソフトウェアの登場が期待される。
※「スマートデバイス時代への備えは万全か――NTTドコモ 山田社長に聞く(前編) (1/2) - ITmedia プロフェッショナル モバイル」