2017-12-05
IchigoJam web(ブラウザで動くIchigoJam)で使っているお気に入り技術、WebAssembly。
マシン語をバイナリで直接書いてみる第一回、初歩的なアセンブラ体験する第二回に続く第三回のテーマは、コンパイラです。

おさらいとして、前回のアセンブラで、param+10 を計算するプログラムを作ってみましょう。

正解はこちら

get_local $0 i32.const 10 i32.add end

paramが1の時、ちゃんと答は11と出ます。では、param+100 を計算するプログラムに変えてみてください。

おや、おかしいですね!?では、128にすると、今度はコンパイルエラーになってしまいます。

WebAssemblyのマシン語での数値は大きさによって1byteから5byteまで長さを変えて表します。最上位bitが1なら、次のbyteを読んで上位に追加していく仕組みになっています。 つまり、1byteで表せる数は、7bitで表せる-64〜63まで。100(2進数で1100100)はこの範囲を超えているので、上位bitを1にして、残りのbitを次のbyteで表すので、1 1100100 (e4) と 0 0000000 (00) となります。

WebAssemblyのコードを書き換えて試してみましょう。

20 0 41 e4 0 6a b

i32.const を表す 41 の後の 64 (=10進数の100) を、e4 に変えてその後ろに 0 を加えて「RUN」
ちゃんと答がでました!

このような計算をいちいち手でやらなくて済む方法は?・・・そうです、プログラムですね。
命令表から手打ちするのも面倒なので、短く楽にプログラムを書けるようにするソフトをつくりましょう。

コンパイラはじめのいっぽ
「P 3 +」と空白区切りで書いたら対応するアセンブリ言語を出力するものです。
※ P は、パラーメータ0を意味することにします

compilebtn.onclick = function() { var src = srcprg.value.split(" "); var asm = []; for (var i = 0; i < src.length; i++) { var s = src[i]; if (s == "P") { asm.push("get_local 0"); } else if (s == "+") { asm.push("i32.add"); } else if (parseInt(s) == s) { asm.push("i32.const " + s); } } asm.push("end"); srcasm.value = asm.join("\n"); }

簡単ですね。このようなソフトをコンパイラといいます。
掛け算とかいろいろ足したものがこちら「WebAssembly poor compiler」です。

WebAssembly poor compiler

「P 3 +」と入力し「COMPILE」「ASSEMBLE」「RUN」と順に押して、答が出してみましょう。

課題:パラメータを自乗して1を足すプログラムをつくってみよう!

アセンブラも上記、大きな数値にも対応するよう改良してあるので、プログラムを確認してみてください。

次はこのコンパイラをもう一歩進めて、もっと自然な数式で書けるように改良してみます。
待ちきれない人は、どんどん進めちゃってください!

WebAssemblyマシン語入門
- ブラウザだけでOK! 1+1からはじめる、WebAssemblyマシン語入門その1
- プログラミングはプログラミングで楽をする、WebAssemblyマシン語入門その2
- もっと楽するコンパイラ、WebAssemblyマシン語入門その3

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links
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