低炭素で持続可能な社会をいかに創るか、その報告に紙が使われてしまうのが悲しいです。
全大学が作成する環境報告書、そのすべてが何百部か印刷されていることでしょう。
どの大学が一番温暖化ガスを削減したか、データで比べてみたい時、すべての報告書を見てピックアップするしかありません。もし、オープンデータで整った形式で機械的に取得できれば、コロナ対策ダッシュボードのように一目瞭然です!
ぜひ環境報告書オープンデータを高専から!
高専初の「環境報告オープンデータ」で、環境報告書をDX!
温暖化対策、高専としての今年度目標達成を確認しました。気象庁(*1)によると世界の平均気温は1890年から100年あたり0.74℃ペース、1990年後半からはそれを上回るペースでの上昇が続いています。高専における削減目標が、京都議定書後継のパリ協定(*2)で約束した日本の温室効果ガス削減目標、2030年に2013年比で26.6%減、産業部門で6.5%減(*3)と整合性あるものとを確認しました。
一方、環境関連科目数の増加にも関わらず、共同研究数や受託研究数が減少傾向である点から、地域における高専とのミスマッチを感じました。南北に長い日本の環境問題対策は、地域内での連携が重要ですが、本報告書で示されるデータからは地域差を確認することができません。そこで、地域と高専との連携を強める「環境報告オープンデータ」を提案します。これは環境報告書を作成するために使用する各拠点の各種データをCSVオープンデータ化し、環境報告書と合わせて公開するものです。
「環境報告オープンデータ」は、印刷を主目的とした検索性に乏しい紙ベースのPDF報告書を、コンピューターで処理しやすく二次利用するためのルールを明確にしたオープンデータを中心としたデジタルファーストに改めます。オープンデータは事前申請不要で、表計算ソフトですぐに閲覧・検索・加工・公開できるため、小中学生の調べ学習や、環境問題に関心高い近隣の企業・行政・住民による活用が期待できます。また、高校の情報で必修化されるレベルのプログラミングでwebアプリ化(*4)することも容易なため、各高専生が自分の学校のデータを使ったゲームづくり、実験検証などにも活用可能です。
最も省エネな高専はどこか?削減率ナンバーワンの高専はどこか?その要因は何か?その地域の気象変動の影響はどの程度か?どの施策がどう程度効いたのか?環境報告オープンデータは、全国55拠点を使った多様なチャレンジと、更に付加価値高いデータを生み出すきっかけとなります。
また「環境報告オープンデータ」が他の学校・行政・企業でも行われることで、地域間・同業種間との比較・可視化・分析が自動化され、日本全体の環境問題への取り組みを加速できます。現在、高専・大学・企業・行政から出される環境報告書は、PDFとしてダウンロード・閲覧できますが、さまざまな形式の表・グラフから目的の数値をすべて抜き出すのは大変な手間がかかります。
高専発の「環境報告オープンデータ」を、ものづくり好きな小中学生や現役高専生に対する環境問題への関心を大いに高め、世界に貢献する高専へと成長するきっかけにしていただければと思います。
*1 気象庁 | 世界の年平均気温
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_wld.html
*2 今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~|広報特集|資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/ondankashoene/pariskyotei.html
*3 2015年(平成27年)7月17日 地球温暖化対策推進本部決定
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/ondanka/kaisai/dai30/yakusoku_souan.pdf
*4 2015年 日本の約束 部門別の温室効果ガス削減目標オープンデータのグラフ化
https://fukuno.jig.jp/2976
「温室効果ガス 削減目標 - 2015年 日本の約束草案より」
リサイクル適性A - 紙の製造、印刷、冊子化、輸送、再利用処理、合計消費エネルギーと資源はどのくらい?データで見て、一歩一歩、理想の社会に近づけていきましょう。SDGsにもシビックテック!
links
- その他施設等に係る情報公開 - 高専機構(環境報告書2020 PDFで読めます)